2013年11月27日水曜日

真昼の決闘、マークリチャーズVSショーントムソン

 米サーファー誌が歴史に残るライディングを特集した号があって面白い。
この記事の題は究極のグレーテストライド!
つまり歴史に残るライディングの裏話ですね。
で、やっぱりピックアップされましたね〜名作「free ride」での、あのツインチューブ。

あのときなにが起こったのか、
その真相を当事者二人が語りました。このシーン憶えている人も多いと思います。
まず場所はノースのオフザウォール。シーズン最高のコンデションだったそうです。当時のオフザウォールはまだあまりサーフされていないポイントで(ジェフハックマンがショーンに教えたと何かで読んだことある)ハワイアン達があまり興味を示さないためにオージーや南アフリカのサーファーにとってはやりやすい場所でもあったわけだな。

またここはバックドアの隣にあるブレイクなので、ここで良いサーフィンをすると写真に残る可能性が高かった。今でも同じですね。さらにオフザウォールはマナー無視のサーファーがいなかったために秩序が保たれていて、ショーンもマークもルールに沿ってサーフィンをしていたという。
 でもこの波に乗る以前に、マークがショーンのドロップインをしてしまった。それでむかついたショーンがマークの波をドロップイン、つまりお返しですね。それでマークが自分の過ちに気付かずにショーンに対して怒り、再びドロップインしてこの有名なシーンが誕生したという。マークは最初のドロップインに気づいてないんだと思うよ。とショーンは語っています。やさしー人だな。

 でもこのときマークはそうとうに怒っていたんですね、ボトムターンで意識的にフェードしてます。ショーンはスプレーが飛んで何も見えなくなったが、その直後からはすごい光景を見ることになり、35年たった現在も鮮やかにその光景を記憶しているそうです。しかしながらシビアに分析するとマークはチューブに入っていないです。カバーアップはしてますが…
ちなみにマークは本人シェープによる6'5"のツインフィン、ショーンはスパイダーマーフィーシェープによるシングル、ダブルコンケープのシングルフィン。

a reference book: Surfer magazine Aug2013







2013年11月18日月曜日

未来のサーフボードデザイン

 プロサーファーの市東重明君のブログhttp://ak47shige.blog10.fc2.com/blog-entry-877.html
に紹介されたプジョーデザインのサーフボード。あちらの造形エンジニアやデザイナーがサーフボードに興味を抱かないわけが無いと思っていたらやはり出てきましたね。
 どんなことでも、一つの事がらに長く関わっていると既成概念に囚われてしまい、斬新なアイデアが浮かばなくなってしまいがちだ。このサーフボードを見ていてそんな気持ちが心をよぎった。つまりこれを作ったプジョーの人たちはおそらくサーフィンの経験があまりないんじゃないかと思ったのです。でもそれは否定ではなく、むしろ新しい発想として既存のサーフボードデザインにまで影響を及ぼす可能性があるではないかとポジティブに捉えたのです。こんな奇をてらったアイデアであったとしても、流体力学に基づいたデザインとなると無視できないですよねえ。なにせ車を作っている人たちですから。
 
 
このボードを見て最初に感じたことは素材や色そしてくさび形のフォルムでした。ノーズのデッキ部分が木製というのも時代を意識しているんでしょうか、とにかくほとんどはカーボンコンポジットかなあという雰囲気です。

 よく観察していると後端のフィンがノーズに向って逆八の字だということに気付きました。既存のサーフボードとは全く逆ということになる。しかも中心の小さい二枚のフィンが前方にあるこれも今までのほとんどボードとは異なります。私自身の拙い経験から想像すると見た目よりも回転性が良いのではないかと思います。テールエンドにフィンがあるからターンしにくいんじゃないかと(かつてのシモンズのように?)私も最初はそう感じましたがそれは既存のクワッドを基にイメージしたからに他ならない。でもこのデザインは既存のクワッドとは発想が逆なんですね。センターよりの二枚のフィンが両端よりも前、しかも両端の二枚はノーズに向って外側を向いている。
 
 おそらくこのボードを開発した人たちは既存のサーフボードに乗っているサーファーのライディングを研究して彼らがテールスライドさせている点に着目したんじゃないかと思います。サーフボードのテールをプッシュしてスピンさせるがごとくサーフするライディングを見て、あんなにクイックなモーションをしたいならばもっと回転性よくしたらどうでしょう。と思ったんじゃないかと…。でもそれがサーファーにとっては楽しいんだってことまでには気付かなかった。だって彼らはサーフィンしないから?
この写真はあの例の流水的プール。空洞実験みたいなものかな?
これじゃあテストはできてもサーフィンの面白さはわからにゃいね。
でもそのうち、こんなフィンセッティングの時代がやってくるのかもしれません。








 

2013年11月6日水曜日

 名作エンドレスサマーの舞台裏についての記事が、米国SURFERに載っておもしろい。こんなこと書いてもいいのかなって思う内容だけど、そこがジャーナリズムの本場アメリカならではなのかな。結論からいえば、三人の長旅で起こりがちなトラブルがこの撮影旅行でも起きてしまったということなんだなあ。
 
 この旅以前からすでにリアルサーファーだったマイク・ヒンソンは、高校卒業したばかりのロバート・オーガストをどうしても格下に見てしまっていたようだ。だってこの旅の資金を稼ぐためにマイクはかなりヤバイことをやったらしい、しかもベトナム戦争の徴兵を逃れてブルース・ブラウン監督のガレージに暮らしていた。一方ロバートは自分の車を売って資金にしたというからマイクにしてみれば親のスネをかじった青二才で、小波にしか乗れないグーフィーフット。俺にタメ口きくなよって感じだったのかな。でもブルース監督にしてみればロバートは言いやすく使いやすい青年、ロバートにしても映画に出演させてもらえるならばなんでもやります的空気がパンパンに充満していたことだろうと思う。(ちなみに私、ロバートさんとは日本で旅をした思い出があります。たいへん柔和な方です)

 そんな三人のビミョーな空気が思わぬハプニングを招いた。あのケープセントフランシスでの、名シーンの撮影である。世界中のサーファーを魅了したあのパーフェクトウェイブはこの映画の核心でもあるのだけど。
 知らない人もちょっとその映像を観ていただきたい。
 
http://www.youtube.com/watch?v=ZVdXi91bLB0


 三人仲よくバージンウェイブを楽しんだ(撮影した)って雰囲気ではあるけれど、じつはマイクがこの波を発見し、いち早く一人でサーフィンしたのだという。その日の朝、マイクは一人早く目を覚ましてメキシカンに火を点した。目の前にはレフトの小波がブレイクしていたが、遠くの岬に潮が上げれば波が良くなりそうな気配を感じた。あとから目を覚ましたブルース監督にその岬の波を話したが、監督はその忠告を皮肉でかわし、小波のレフトで撮影しようと準備を始めロバートもそれに従う。その態度に嫌気がさしたマイクは一人で岬に向う。すると潮が上げはじめて突然のようにパーフェクトウェイブが出現し、マイクはそれをサーフする。
 その光景を見たブルース監督とロバート・オーガストは慌てて岬に向いセッションが始まったということである。つまりブルース・ブラウンはマイクが乗ったファーストウェイブを撮り損なっていたのだ。


all photos by Bruce Brown